2.14 第2回RIZIN×DEEP合同ジャッジ勉強会参加者インタビュー|新美吉太郎
RIZINとDEEPの両審判部共催にて実施された第2回RIZIN×DEEP合同ジャッジ勉強会。
この勉強会には、遠く名古屋から参加する審判員の姿もあった。
「地方と中央の格差が広がらないように頑張りたい」
勉強会を通じて感じたこと、地方が抱える競技運営上の課題など、東海エリアにてMMA審判員を務める新美吉太郎氏に話をうかがった。
――新美さんが、東京まで近いとは言えない名古屋から今回の勉強会に参加しようと思ったのはなぜでしょうか。
新美 MMAのレフェリーやジャッジを頼まれることが増えたので、自分自身のスキル向上のために参加しました。そして、東京のレフェリーの皆さんの格闘技に対する熱を感じたので参加しました。皆さんの熱量に引き寄せられましたね。
――東京のRIZINやDEEPに参加する審判員との合同勉強会でしたが、今まで東京の審判員との交流はありましたか?
新美 東海エリアで開催されるプロのMMA大会にレフェリーとして参加するとき、関東もしくは関西の方々と一緒に仕事をすることが多いですので、今までも交流はありました。
――それなりに交流はあったと。
新美 むしろ、東海エリアの人間だけで審判団が組まれることはほとんどないんじゃないですかね。自分はそのように記憶しています。
――RIZIN、DEEPと普段地元で新美さんが参加されているMMA大会では判定の方法が異なる部分もあるかと思いますが、勉強会を通じて何か感じたことなどはありますか。
新美 全体を通しての評価とラウンド毎での評価の違いがはっきりと理解することができましたね。また、全体評価でもラウンド毎でも必ず優劣をつけるかどうかで見方も変わってきますよね。あとは、DEEPの判定基準の中で「10ー8」をどの内容でつけていくか。とにかく判定方法で違いが出てくると思いました。
――試合全体評価とラウンド毎評価の特徴や難しさなどございましたら教えてください。
新美 全体評価の場合は判定になったとしても最後の最後まで勝てる可能性があり、格闘技ファン以外の一般の方にもわかりやすいのかなとは思いました。ラウンド毎の評価はラウンド毎にとったかとっていないか明確ですから競技者向けというか、競技性が高くなるのかとは思います。
――見ている人や選手にも与える影響はあると。
新美 はい、選手も全体評価とラウンド毎評価のような判定方法によっては、戦い方が変わってくると思いました。もちろんジャッジも採点する上で変わってくるのですが、今回の勉強会でRIZINの変則的なジャッジペーパーの意味がわかりました(笑)
――RIZINは通常のジャッジペーパーとは異なるのですね。
新美 試合全体評価ですから、ラウンド毎の内訳ではなく「ダメージ」「アグレッシブネス」「ジェネラルシップ」という判定基準の各項目の評価がどうだったかというのを記載する内容ですね。そのなかでも評価ウェイトが一番大きい「ダメージ」が重視された全体評価のためのジャッジペーパーですかね。
――新美さんのように地方に在住している審判員が東京の大会と同じ水準で競技運営を行っていくにはどのような方法が良いのでしょうか。
新美 東海エリアで行われている大会は関東や関西からレフェリーを招聘しているので東京とほぼ同じ水準で競技運営が行われているのではないかと思います。でも、その分、主催者側の負担は大きいと思いますが。
――関東や関西の審判員の協力がないとなかなか運営は難しいということですか。
新美 東海エリア在住の審判員のみでは関東などと同じ水準での競技運営はなかなか難しいのかなと思いますね。そういう意味では東海エリアは人材不足なのかもしれません。
――人材不足が課題なのですね。そのあたりの課題を解決するという部分ではどのようなお考えをお持ちでしょうか。
新美 地方での審判員の水準を高めることを考えますと、従来までの流れのような個人の善意による審判員の育成などは長くは続かないように思います。
――やはり何かしらの体系的な仕組みが必要だと。
新美 そうですね。今すぐに出来ることとしては、やはり今の東海エリアでやっているような、地元の審判員に加えて、東京で活躍されている審判員も含めて審判団を組織して、その中で連携を図りながらレベルを上げていく形でしょうか。
――地方在住の審判員の立場から、今後開催してほしいような勉強会はありますか。
新美 今回はジャッジ勉強会だったので判定についての議論が中心でしたが、今後は、安全管理や競技運営全般のことなども議論できれば良いと思いました。あとはレフェリーとしての基本的なことで、試合を止めるタイミングや反則事項の再確認などですかね。
――そのような勉強会がまた開催されたら参加してみたいですか。
新美 遠いですからなかなか毎回というわけにはいきませんが、都合がつけば参加したいと思っています。地方と中央の格差が広がらないように頑張りたいですね。あと、こういう勉強会の開催をサポートしてくれている方々には感謝したいですね。
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